宮台真司:近代の最後の砦


 シンポジウムの最後に、どういう流れからだったか、丸川哲史が「解放の思想が終わらない限り近代は終わらない」と語り、それに誰もコメントできず、その言葉でシンポジウムが終わった。宮台は意表をつかれた顔をしていて、ペペと神長は誇らしげに笑っていた。私にはその丸川の言葉に皆が感心しているように見えたので、興奮を分かち合おうと、初対面のペペと神長に「あれは宮台真司に対する批判ですよね」と話しかけた。二人ともとても明るくてフランクだったけど、クールな反応だった。ペペは「あいつ適当なことを言いますからね」と笑っていて、神長は「本人に訊けばいいじゃないですか」と言った。で、本人に「あれは宮台真司に対する批判ですよね」と訊いたら、丸川は破顔一笑して「そうです」と言った。さらに「宮台が近代の最後の砦だということですよね」と訊いたら、丸川は「そうです、そうです」と、うれしそうに何度もうなずいていた。