初期詩篇

 こないだ、レオ丸君に問われるままに、私の文学創作の過程を振り返ったのですが、最初のまとまった創作は、小学生の頃、オリエンとホッホーという小説でした。よくある話ですが、オリエンとホッホーのうちのどちらかがバカでどちらかが利口なんですね。バカと利口とのドタバタ喜劇がいろいろとあるわけなんですが、ところが、これもまあよくあるパターンですが、ある事故が起こるまでは、実はバカと利口とが反対だったという話になるんです。どっちがどっちだったかは忘れてしまいましたが、ある事故によってバカが利口になり、利口がバカになってしまっていたんですね。たわいのない話で、中学校に入って以降は一行も書かれることはなかったわけですが、レオ丸君に話して思い出してから、オリエンとホッホーの話を延々と書き続ける男の姿が浮かぶことがあります。
 中学生の頃はSFに凝っていて、新世紀という連作小説を書きついでいました。第一作では街から自然が失われた近未来を舞台にしていて、そこに、時代遅れの自然を守ろう会の男が登場するわけです。科学が進んで、人工施設で大自然を体験できるようになっているわけなんですが、自然を守ろう会の男は、そんなものはうそっぱちだ、巨大スクリーンで体感する大自然よりも、街の片隅に自然に生きている一匹のゴキブリのほうがはるかに尊いんだ、と絶叫するわけなんです。
 その他、時代と時代との変わり目、古い価値観と新しい価値観とのせめぎあう瞬間が描かれていくわけです。最後の作品は「秋の人肉食」という題で、人類の文明も末期に入っていて、食料も欠乏しがちになっちゃってるわけです。それでまあ、人が死んだときには、もったいないからみんなで食べちゃおうよ、という社会になっちゃってるわけなんですね。ところが、どんな社会にも偏屈な奴はいるもので、そこに、人肉を食べるのはよくないんだ、人間は人間の肉を食べてはいけないんだ、と言い出す奴が現れるわけなんです。
 高校に入ってからは、専ら詩を書いていた感じです。思いついた詩を書き留めて、それを何度も推敲するという感じでした。で、大学に入ってから平岡君に誘われて現代詩研究会を始め、11月の学園祭のときに、いくつかの作品をガリ版刷りの冊子にまとめます。それをさらに推敲し、翌年の5月の学園祭のときに発刊された同人誌「腐植土」創刊号に発表します。過半数の作品は高校生の頃に書いていた作品を推敲したものです。次のような作品です。